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60周年記念事業

土地家屋調査士制度制定60周年を迎えて

本日ここに、ご来賓の皆さんのご来臨の下、土地家屋調査士制度制定60周年記念式典を挙行することができますことは、主催者であります日本土地家屋調査士会連合会及び各土地家屋調査士会並びに全国17800余名の土地家屋調査士会員にとりまして、無上の喜びとするところであります。

土地家屋調査士の制度は戦後日本の復興期にあたり、さまざまな制度の変革が試みられた昭和25年、土地・家屋台帳の所管が税務官署から法務局に移管されると時を同じくして誕生いたしました。

土地・建物の台帳登録事項の異動に伴い土地所有者等が行うこととされていたいわゆる台帳申告の手続きは、現地の調査や測量を必要とすること、所定の形式による図面を添付すること等の技術的なことのほか、各種の関連法令への精通を必要とすること等、法律事務的な側面をも有する、極めて専門性が高い知見を備えていることを求められることから、その適切な運用を図るために民間の活力・知識経験を活用しよう、不動産の正確な調査と測量をすることによって土地台帳制度の円滑さの確保を通じて日本の国土利用の発展と、登記制度の前提となる現況の把握をより正確にしようと、制度が創設されたものですが、以来、本年で60年を迎えました。

そのルーツは土地建物にかかる税の基礎資料の正確さを期するため各地の税務官署に所属して業務していた土地調査員の制度であり、戦前からの数度に及ぶ国家資格制度化への国会への請願を経て議員立法により土地家屋調査士制度として誕生したものです。

以来、戦後復興期、高度経済成長期、世界有数の経済大国となった時期を経て今日に至るまで刻んだ60の年輪は社会・経済環境の変革、人々の権利意識の高まり、不動産登記制度とその関連分野が果たす役割の変化等々に対応して重ねてきた星霜であります。

この間、法務省はじめ関係省庁・諸機関のご理解と先輩諸兄のご尽力を得て土地家屋調査士の制度環境・業務環境も大きく変革されてまいりました。昭和31年には土地家屋調査士会の強制設立(強制会)と土地家屋調査士の強制入会制度が採られるとともに、土地家屋調査士会の会則が法務大臣の認可事項となりました。

制度創設後10年を経た昭和35年には不動産登記法の大幅改正により不動産の表示に関する登記制度が誕生し、これまでの台帳申告・登録制度は権利に関する登記と両輪をなす不動産登記制度の柱として生まれ変わりました。

この時、同時に改正された土地家屋調査士法では、他人の依頼を受けて表示に関する登記に必要な調査・測量・申請手続を業として行うことが土地家屋調査士の法定業務とされ、ここに不動産にかかる権利の客体の明確化に関する事務を適切に、迅速に、円滑に行うというその職責を通じて国民の権利の護り手の一角としての使命を託された専門職能として位置づけられ、今日に至っております。

連合会組織におきましても、制度創設当初は全国土地家屋調査士会連合会と称しておりましたが、昭和42年の法改正に伴って日本土地家屋調査士会連合会と改称して今日に至っております。

昭和60年には土地家屋調査士の登録事務が法務省から日本土地家屋調査士会連合会に移譲され、同時に公共嘱託登記業務の受託法人として公共嘱託登記土地家屋調査士協会の設立規定が整備されました。

さらに平成15年の土地家屋調査士法改正に於いては会則認可事項と土地家屋調査士試験科目の見直し、平成18年改正法では筆界特定制度の創設に伴い、代理権が付与されるとともに、国家の重要施策となった司法制度改革の議論の中で、土地の境界が不明であることを原因とする民事紛争に於いて代理人として活動する権能が一定の条件の下ではありますが、土地家屋調査士に付与されました。

また、関連業務に於いては、土地家屋調査士の専門的知見が最大限に活用される業務として、不動産登記法14条地図作成事業や国土調査法に基づく地籍整備事業にも積極的に参画するとともに今後も大きな期待が寄せられています。



[photo]平成22年6月 日本土地家屋調査士会連合会 会長:松岡 直武

この間、土地家屋調査士の基盤業務である表示に関する登記に於いては、申請実務では紙とハンコに代表されるアナログ申請から電子化社会の到来とともにオンライン化、電子署名方式が採用され、登記済権利証書はデジタル記号に変わることとなっています。調査・測量実務に於いても、地図・地積測量図の作成に関し、世界測地系であらわされる基本三角点等の測量の成果に基づくこととされる等、表示に関する登記の役割も、権利の保全と取引の安全に寄与するという不動産登記法が所期する目的のほか、国家・自治体の不動産にかかる税源に関する基礎資料の調製、土地境界を含む位置の特定に関する情報は地理空間情報に於ける基盤情報として重要な意味と役割を担い、土地境界に関する諸問題については紛争解決機関的役割もしくは予防司法的な役割をも担うこととなっています。

土地家屋調査士制度制定60周年を迎えて、改めて制度制定以来今日まで制度充実への夢を実現するため、役員・会員として常に時代を見据えた会務運営や、日常業務を通じて社会に大きな貢献をされた多くの先人の英知と流された汗、法務省はじめ司法・立法・行政の各分野、関係団体・機関の各位のご支援・ご指導に深甚なる敬意と感謝の意を表する次第であります。

私たち土地家屋調査士は、すべてのご関係の皆様に変わらぬご指導・ご鞭撻をお願い申し上げますとともに、60周年という意義ある節目の年を機に、これまで以上に研鑽を重ね、市民社会にしっかりと根を下ろした専門職能家として社会生活の安全、権利の保全、取引の安全に、さらには利用者の利便性の向上に寄与していくことをお誓い申し上げ、土地家屋調査士制度制定60周年を迎えるにあたってのご挨拶とさせていただきます。

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