岩手県土地家屋調査士会

【目的】

不動産取引における不動産登記制度の現在抱えている問題を探り、国民生活の安定と向上に繋がる、 10年後の近未来を見据えた新しい登記制度「20 30登記情報(表題部)『岩手モデル』」を考案し、岩手から全国へ国民の安心と安全な暮らしに貢献する土地家屋調査士の職能を P R する。

【経緯】

当初、岩手会では、歴史的建造物(岩手銀行赤レンガ館、あるいは岩手県公会堂)の 3 D スキャンが候補に挙がっていたが、新型コロナウイルス感染症の収束の見通しが不透明なことにより、「出来ることを出来る範囲で」に方針変更のもと、プロジェクトチームで協議した。その結果、二次元コード(以下、QR コード※)の活用に着想を得、10年後の近未来を見据えた「2030登記情報(表題部)『岩手モデル』」を考案することとした。更に土地家屋調査士制度広報として、「7 月 31 日は土地家屋調査士の日」新聞広告掲載、及び岩手会 WEBサイト・公式 Facebook 上で現行登記制度に対するアンケート募集チラシを投稿し、土地家屋調査士の職能や専門性等を広くPRする方向で、ようやく実施計画を定めた。
※「QRコード」は、株式会社デンソーウェーブの登録商標です。

【目指すもの】

有用な情報を付加することで国民が得たい情報を享受出来る高機能な表題部『岩手モデル』を考案することによって、近い将来『岩手モデル』が採用となり、不動産の登記記録と利活用に関する情報が一元管理され、人々の生活を豊かにし、国民目線に立った ICT(情報通信技術)サービスが確立されることを願うとともに、土地家屋調査士制度のPRに繋げる。

【事業経過と結果】

2020/5/28
・ 第1回登記制度創造プロジェクトチーム会議参加 6 名 実施計画の策定
2020/7/22
・ 一般市民及び岩手会員を対象に現行の登記制度に対するアンケート募集開始(~ 8/20 迄)
・ 岩手会 WEB サイト スマートフォン対応サイトへリニューアル
予算の都合上トップページのみであるが、岩手会 WEB サイト閲覧は大幅に視認性が向上した。
2020/7/25
・ 岩手日報紙面上にアンケート募集の広告掲載2020/7/30
・ 岩手日報紙面上に第11回不動産表示登記無料相談会の告知とともに、本プロジェクト及びアン
ケ ート募集の広告掲載
2020/9/2

・ 第2回登記制度創造プロジェクトチーム会議参加 7 名
調査士会館のドローンによる空撮及びアンケー
ト の集計を行った。その結果、一般3名、会員8名の回答を得た。プロジェクトチームで回答内容を踏まえ協議を重ね、「岩手モデル」叩き台を考案。
2020/10/2
・『岩手モデル』考案にあたり参考にしたアンケート一般回答者 3名に対し、謝礼として岩手会オリジナル Q U Oカード50 0円分、更に広報グッズ4点を添えて郵送し謝意を伝えた。
2020/10/14
・ 第4回理事会の席上にて『岩手モデル』叩き台を披露
2020/11/10
・ 第3回登記制度創造プロジェクトチーム会議参加 5 名
第4回理事会での提案を受け、『岩手モデル』 のクオリティーを高めるよう内容を協議し、最終モデルを考案した。

調査士会館建物3Dモデル
調査士会館建物3Dモデル

モデルには岩手会の調査士会館の登記記録を利用した。土地の表題部には、住居表示や既登記建物の有無、区域区分、用途地域、農業振興地域、接道状況、上下水道、防災情報を、建物の表題部には住居表示や用途地域、接道状況に加え、建物ならではの情報として、建物の名称や間取り、最寄り駅・バス停、評価額、土地の権利を表示するものとした。菅内閣肝煎り政策の一つ、「デジタル庁」創設が発表され、官公庁横断型のデータベースが構築されることを想定し、国が管轄するサーバーに作成した情報フォルダのアクセスにQRコードを活用することによって、有用な情報を得る形式とした。今回はテストケースにつき『岩手モデル』では岩手会公式Facebookの投稿サイトを利用した。また令和2年8月28 日より、不動産取引時において、水害ハザードマップにおける対象物件の所在地の説明を義務化する、宅地建物取引業法施行規則の一部改正が施行された。自然災害が多発する昨今、国民が最も知りたい情報であり、位置情報には国土地理院ハザードマップポータルサイトを利用し、更に3Dモデル操作に対応したWEBサイトにアクセスするQRコードを貼付した。土地・建物の全部事項証明書には、情報フォルダ ( 放射線モニタリング情報、日照時間、農地ナビ、不動産取引価格情報検索の各サイト URL を格納 ) のQRコードを、更に地積測量図には位置・防災情報やオルソ画像との重ね図、境界標の写真、3D モデルデータを、建物図面にも同様に位置・防災情報や建物全景写真、3D モデルデータの QR コードを貼付し、全部事項証明書・図面ともにカメラ付きスマートフォンやタブレットを用いることによって視覚的にも不動産情報が把握出来るようになった。

プロジェクトチーム内で協議の結果、『岩手モデル不動産関連情報』:
・ 放射線モニタリング情報サイト
https://radioactivity.nsr.go.jp/map/ja/area.html
気象庁データベース:盛岡市月毎日照時間
http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/view /monthly_s3.php?prec_no=33&block_no=475 84&year=&month=&day=&view=p4
・ 農地ナビ
https://www.alis-ac.jp/SelectPrefecture
・ 不動産取引価格情報検索
https://www.land.mlit.go.jp/webland/servlet/M ainServlet
・ 3D モデルデータ  https://skfb.ly/6V77sを採用、各サイトにアクセスし必要な情報を得る形とした。また都市計画区域や用途区域等の利活用に関する制限情報や駅から徒歩での所要時間は表題部にテキスト表示とした。

【登記制度について創造されたもの】

・ 将来の登記情報の形について創造
・ 現在の登記情報以外の有用な情報を追加し、アプリやコンテンツを利用して一般市民でも分かりやすいような登記情報(視覚化)
・10 年後の近未来を見据えた「2030 登記情報(表題部)『岩手モデル』」の考案。

【創造されたものを活かすには】

・ 各行政が持っている情報の一元化や法改正、その中で登記行政(法務省)が主導して進めることが必要。
・ 将来の制度設計の一つとして、連合会より法務省や各省庁に提案し議論していただく。