広島土地家屋調査士会
【目的】
「旧広島陸軍被服支廠」は1905 年に開設され、主に兵員の軍服や軍靴などを製造していた。1945年8月 6 日に投下された原爆で倒壊を逃れた現存する被爆建物である。爆風で歪んだ鉄製の窓枠やドアがそのまま残されている。
所有する広島県の協力のもと、三次元データを作成することで、「原爆の恐ろしさを伝える貴重な建物」を現地に行くことなく、後世に伝えることが可能となると共に、今後の平和学習の教材としての活用も考えられる。この様な三次元データを広島県に提供することにより、土地家屋調査士の専門性を広くPRしたい。
【経緯】
世界で初めて被爆した都市「広島」は核兵器廃絶と世界恒久平和の実現を願い、常に発信している。その土地に根付く広島会として被爆建物でその土地に根付く広島会として被爆建物である「 旧広島陸軍被服支廠 」の三次元データ作成を行うことは必然であった。所有する広島県の協力を得て事業を行うこととなる。
【目指すもの】
「旧広島陸軍被服支廠」三次元データを作成したことを広く発信し、土地家屋調査士の PR活動につなげて行きたい。また、この事業を契機に会員にも研鑽を促し土地家屋調査士の技術、知識のレベルアップに努めたい。
【事業経過と結果】
建物を所有する広島県にこのプロジェクトの意義を理解して頂き、協力を仰ぎ、10月1日、10月 2日の 2 日間、三次元データ観測を行った。
「旧広島陸軍被服支廠」は国内最古級の鉄筋コンクリート造り煉瓦張りの建物である。4 棟の建物からなり、L 字型に並んでいる。 1 棟の建物の全長は約 94m、3 階建で高さは約 17mである。Leica
RTC360(高性能3Dレーザースキャナー)1 台、 Leica BLK360(小型・軽量・高精度3Dレーザ ースキャナー)6台を使用して4棟の外観の計測、 1棟の建物内の計測を行った。ドローンによる計測も行った。
その後、三次元データを作成し、VR 映像も作成した。
※協力:ライカジオシステムズ株式会社、株式会社神戸清光、株式会社エリジオン
【登記制度について創造されたもの】
当会は被爆建物「旧広島陸軍被服支廠」の三次元データ化を行った。
今まで日常の業務の中で、現行の建物図面、各階平面図に対して疑いを持つことはなかったが、三
次元で表現することは対象建物の大きさ、形状、色合い等、誰にでも簡単に確認できる。不動産の状況を正確に登記記録に反映することによって不動産取引の安全の確保、国民の財産を明確にすることを使命とする土地家屋調査士として、技術の進歩と共に登記制度を一考する機会となった。
【創造されたものを活かすには】
法律の問題、技術的な問題は正直わからない。ただ我々は不動産の既定の公示方法のみならず、常に新しい技術、知識を勉強していく必要がある と考える。