山口土地家屋士調査士会

【目的】

① 世界文化遺産に登録され歴史的にも重要な建物であり、登記することによって、土地家屋調査士をP Rする。
② テレビ山口株式会社 ( t ys ) の番組 「ちぐまや本舗」の企画で鋲と案内碑が設置されているが老朽化しており、綺麗に整備し新たな記念碑を設置することを t ys に企画提案し、取材に来てもらうことで土地家屋調査士の知名度をアップさせる。

【経緯】

① 各支部から地元にあるランドマークを選出してもらい、調査,協議の結果、世界文化遺産である「松下村塾」を登記できれば、インパクトがあると意見がまとまった。
② 当初は、我々で山口県の重心点を探索し、記念碑を設置する計画だったが、調査の結果 t ys の番組「ちぐまや本舗」 の企画で鋲と案内碑が設置されていた。現地を見に行くと、案内碑は老朽化しており、重心点の鋲も分からなくなっていた。場所は、豆腐製品などを製造している株式会社仁保庵の工場の駐車場にある。そこで綺麗に整備し、新たな記念碑を設置して重心点を打ち換えること、仁保庵に「へそ豆腐」を企画提案することを考えた。それをtysに取材してもらえたらPRになると意見がまとまった。

【目指すもの】

「登記」という制度に関心を持っていただき、その重要性を知っていただければ、我が国において大きな課題となっている「所有者不明土地問題」の解消に向けた一歩になるのでは期待している。また、それと同時に登記制度を支える「土地家屋調査士」の周知が進めばと考えている。

【事業経過と結果】

① 萩支部の三好一敏参与が松陰神社の上田俊成名誉宮司と懇意にしているため、連絡と日程調整していただき、萩市の松陰神社でプロジェクトの説明と「松下村塾」の登記をお願いしたところ、快く承諾して頂いた。そこで後日、関係各所と登記に向けて協議を行った。山口地方法務局萩支局には、建物の種類を「松下村塾」にしたいと要望し、萩市役所文化財保護課には、所有権証明書の発行をお願いした。松陰神社では、上田名誉宮司をはじめ白石陽一郎宮司、萩博物館歴史専門員 樋口尚樹様にお集まり頂き協議を行った。そこで新たな発見・・・山口県民としては少し恥ずかしいですが、「松下村塾」の隣にある杉家旧宅 (吉田松陰の実家)「吉田松陰幽囚ノ旧宅」も共に世界文化遺産に登録されていることを説明されたため登記することとなった。問題となったのが、新築年月日である。もともと瀬能家から杉家が借りていたものであり、明治になってから杉家が買い取り、現在は松陰神社の所有となっているため、資料がなく不明であった。「松下村塾」は安政5年3 月 11 日に増築されており、増築部分など資料により明確であった。年月日不詳新築ではかっこ悪いと意見があり、いろいろ調査していると山口県立図書館で借りた書籍「史跡松下村塾・史跡吉田松陰幽囚ノ旧宅 保存計画」に天保年間頃の建築とあり、天保年月日不詳新築で登記することで承諾を得た。後日改めて上田名誉宮司立会により、建物の調査・測量を行った。両建物とも小屋裏があり、「松下村塾」は高さ1.4m のため平家建とし、「吉田松陰幽囚ノ旧宅」は高さ 1.5m 以上のため 2 階建とする。便所があり「吉田松陰幽囚ノ旧宅」の附属建物で登記する。登記完了日を松陰先生殉節の日である 10 月 27 日に決定し、着々と準備を進めた。建物の種類は「松下村塾」と「吉田松陰幽囚ノ旧宅」とし、「吉田松陰幽囚ノ旧宅」の附属建物の便所の種類は「厠」とする。所有権証明書は、松陰神社より提供された建物財産目録と萩市役所からの証明書を添付する。調査士報告方式で申請する予定であったが、建物図面・各階平面図に松陰神社の印を押印した図面で申請することとなり、特例方式での申請となる。登記申請は山口会を代表して杉山会長が申請する。など、すべての準備が整った矢先・・・法務局に照会していた建物の種類「松下村塾」・「吉田松陰幽囚ノ旧宅」は不可となり、法務局が指定した「記念館」となってしまった。代わりに建物の名称として「松下村塾」・「吉田松陰幽囚ノ旧宅」を所在欄に記載して登記することとなり、10月27日に登記が完了。コロナの状況を考慮しながら、令和3年4月 9 日に松陰神社へ成果品を贈呈した。なおこの様子は同日、tysで放映された。夕方のニュース番組であり、多くの方に視聴していただけたようである。

② t y s 総務局長 池田泰様、仁保庵 代表取締役葭田明彦様に連絡を取り、プロジェクトの説明と「 ちぐまや本舗」 の企画で鋲と案内碑が設置されているが、綺麗に整備し、新たな記念碑を設置して重心点を打ち換えることの内諾を得た。日程調整後tys 本社へ訪問して、総務局長 池田様、総務局 総務部兼メディア戦略室 竹内広樹様に事業へのご協力のお願いの文書と、企画書を提出し、説明とご協力のお願いをした。快く承諾して頂き、取材についても前向きに検討するとの回答を得た。同日、仁保庵へ訪問して、葭田社長に事業へのご協力のお願いの文書と、企画書を提出し、説明とご協力のお願いをした。「へそ豆腐」についても検討して頂けることとなった。しばらくして、t ys 報道制作局 報道制作部 専任部長 プロデューサー 清水崇様から、仁保付近を街歩きロケをする企画があり、その中で取材したいとの連絡があったが、コロナ禍の影響で中止となり、あらためて検討することとなった。仁保庵の「へそ豆腐」についても興味を持って頂いていたが、難しそうである。重心点の整備は予定より遅れたが、順調に作業した。まず、既存の重心点の鋲がどこにあるのか分からなく、もしかしたら無くなっているのではと心配していたが、GNSSで測量すると土に覆われているだけで無事に発見できたため、元の位置でステンレス鋲に打ち換えすることができた。記念碑については、何度もデザインを練り直し決定し、t ys と葭田社長にも最終案と設置場所を説明し承諾を得た。設置した記念碑は、令和3年 4 月24日に t ys の番組「週末ちぐやま家族」で取り上げていただき、無事PRを図ることができた。

【登記制度について創造されたもの】

  1. 世界文化遺産である松下村塾を登記することにより表示登記の重要性を創造する。
  2. 山口県の重心点(へそ)を求め、記念碑を設置することで世界測地の座標について創造する。

【創造されたものを活かすには】

・未登記建物(特に官公庁関連)ゼロ宣言の啓蒙活動
・位置を特定するには世界測地系で測量をし、標識を埋設することが重要であるとの啓蒙活動