長崎土地家屋調査士会
【目的】
20 22年度の暫定開業を目指す九州新幹線長崎ルートに関し、リニューアルされた県央地区の玄関口となる諫早駅において、通常の登記情報に加え、3 Dスキャナーによる三次元データの作成や、防災や減災に利用できる位置情報の測定を行い、市に寄贈することで土地家屋調査士の職能や専門性を広くPRしたい。
【経緯】
3D 測量を実施した諫早駅在来線新駅舎は本年 11月にリニューアル工事が完成し、令和3年 7 月には在来線と並行して整備中の九州新幹線の新駅舎が本県初として完成予定です。この在来線新駅舎については、公共嘱託登記長崎県土地家屋調査士協会諫早地区が本年11 月に建物表題登記の申請を実施しましたが、現行の登記制度に加えて多目的に利用できる情報(位置情報・3 D スキャンデ ータ等)も作成しようと、登記申請とは別に諫早市と協議を重ね、10 月 13 日に 3Dスキャン観測を実施したものです。
【目指すもの】
3Dスキャンデータの情報を市に寄贈し、防災や減災など多目的に活用して頂きたい。
【事業経過と結果】
令和 2 年 10 月 13 日にライカジオシステム株式会社様および株式会社神戸清光様のご協力のもと、長崎会会員 9人を含む12 人が参加し、リニューアルされた諫早駅の3次元(3D )測量を行いました。
現在、ライカジオシステム(株)様にデータ作成を依頼しており、2020 年度中に完成させ、諫早市への寄贈を行いたいと考えています。
【登記制度について創造されたもの】
我々土地家屋調査士は、不動産の物理的状況を正確に登記記録に反映させるために、必要な調査及び測量を行う専門家でありますが、不動産の状況を正確に登記記録に反映させる各種データは現在のところ2次元のものを提供しています。そこで、将来の登記制度をも考える契機となるよう3Dデータ等を作成し、多目的に利用できる情報を取得できるかを創造しました。
【創造されたものを活かすには】
今回、3Dデータ取得の調査対象とした新築の諫早駅舎を所有する諫早市と長崎会とは大規模災害復興支援協定を平成26年に締結しています。災害発生時には、家屋被害認定調査支援や無料相談会に対応する予定です。災害発生に至らない場合でも、大雨時には諫早市の情報連絡室から毎時の雨量・河川水位データを FAXにて長崎会にも提供いただいており、会員の身の安全確保や河川氾濫に一早く備えられる体制ができています。
諫早駅舎の3Dデータ化によって、河川氾濫時の浸水域の想定、支援物資保管等の物流拠点の想定、帰宅困難者の一時滞在拠点の想定が容易になり、また情報共有も可能となると考えます。
このため、多目的に利用できる3次元の情報を提供できれば、土地家屋調査士の役割も広がっていく可能性があるのではないでしょうか。